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「与謝野さんとこはさ、そんなうまい話があったら
まずは、宗太くんか言都ちゃんに相談すればいいのよ、うちは子供がいないし、誰も相談に乗ってくれる人がいないから、
有り金はたいた挙句にまんまと騙されて
気がついたら一文無し!
なんて事になりかねないんだから」
「…あの2人だって、たいしてあてにはならないわよ、自分たちの事で精一杯じゃない?
お互い歳だけど自分の身は自分で守らなきゃね」
「…そういや、海外からなんだか封筒が届いてたのよね、さっき郵便屋の亮くんが」
『郵便屋の亮くん』とは、佐倉と言う近所に住む
大学生で息子で、小さい頃からよく知っているが
ここ何年か、夏休みになると郵便局でアルバイトをしていた
安枝は、横のテーブルに無造作に置かれた
郵便物の中から、国際郵便でよく使われる
赤とブルーのラインの入った封筒を取って見せ
「あらぁ、ほんと、エアメール?どこから?」
「字が下手すぎて、よく読めないのよね、うちの
住所も、定規でひいたような漢字でさ」
「…やだ〜、安枝さん、もしかして
一時期問題になった
海外の宝くじが当選しました〜って
お金を振り込ませるやつ
あれじゃないの?」
「ああ、あったわね〜、きっとそれだわ
詐欺のセコイ奴、見ない方が良いわね」
そう言って、安枝は封筒をゴミ箱に捨てた
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