安枝、イタリアに行く

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「大丈夫さ、ちょうど10年前に町内会の韓国旅行の時に作ったパスポート、あれがありゃ良いんだろ?」 「う〜ん、期限内ならね、まあ、そうだけど… イタリアなら、ビザも短期間ならいらないし… でも言葉とか…」 谷社長がつぶやくように言ったが 「こうしちゃいられない、ちょっと事務員さん マリアに返事を送ってくれないかい? 飛行機が取れ次第、そっちに行くから 空港まで迎えに来いって」 「えっ、ええ〜、…わっかりましたぁ えっと、たしかメルアドが〜」 事務員が上目遣いで社長を見たが 社長が何も言わないのを確認すると 「あっ、ここにアドレスが…」 彼女は、マリアのメールアドレスを確認すると 安枝が言った事を出来るだけ忠実に訳し メールを送る 「イタリアは、時差が7時間だから、ちょうど今は、午前の11時頃でしょうか」 少しして返信があり 「到着の便がわかったら、教えてくれれば 迎えに来るそうです!」 「よし、これで決まった」 「安枝さん、孫に会えるから嬉しいのはわかる けど、くれぐれも気をつけなよ 日本とは違うんだからね」 「わかってるって、社長、ところで…」 「んん?」 「航空券でどうやって買うんだっけ?」
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