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駐車場に停めてあったその小さい車は
日本なら車検が通らないのではないかと
思われるほど、見た目おんぼろで
「ちゃんとエンジン、かかるのかい?」
「ダイジョウブ、モンダイない」
そうして、一路、マリアの家へと
向かう事になった
車内はエアコンが効かないとあって
なかなかの蒸し暑さ
マリアが言うには
夏は暑く、冬はものすごく寒いらしい
「へぇ、京都みたいなところだね」
1年を通しては、9月位が1番良い時期だそうだ
赤色の建物が車窓から見える
しばらく走ってからマリアは、
路駐スペースに車を停め
「ココからチョット歩きます」
と言って、助手席のドアを開けると安枝を
車から降ろし、石畳の道へ誘った
そこから5分ほど歩いただろうか
日本で言うところのマンションタイプ
集合住宅の3階にマリアの住まいがあり
「マイホーム、セマイけど」
玄関のドアを開けて、中を入ると
生活感は溢れているが、案外キレイにしている
「こっちの住宅事情はよく知らないけど、
家賃とか高いのかい?」
と、安枝が聞くと
ここはパパが、ママとマリアのために
買ってくれた家だと言う
安枝は、
別れるときの手切金って事かい?
と思ったが、口には出さなかった
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