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「ごめんね」
透明の浮き輪をナイトプールのスタッフに返し、少ししてからユニがアヤに謝った。
「ユニが謝る必要ない。たまたまわたしが風邪っぽくて今日は好みのイケメンがいなさそうだと判断をしただけなんだから」
色白で巨乳の上に病弱とか属性盛りすぎで、わたしの存在が霞むだけだしさとアヤが呟く。ユニには聞こえてなかったようで首を傾げる。
女子更衣室に向かう途中、五重塔からカップルらしき手を繋いだ男女が出てきた。彼らが和モダンな瓦屋根の平屋に入っていくのをユニが見つめていた。
「羨ましそうだね。ユニも好きな相手と……わっ」
ユニの前を後ろ歩きしていたアヤがツーブロックの男にぶつかり、倒れそうになるが。
「おっと、すみません。大丈夫ですか」
とツーブロックの男がアヤの両肩をつかんで、一回りほど小さい彼女の身体を支えた。
「こちらこそすみません。ちゃんと前を」
プールサイドにこぼれた緑色の液体をアヤが確認……彼女の足元に転がるクリアカップはツーブロックの男のものだったらしく苦笑いを浮かべた。
「お気になさらず。こちらも前を見ていなかったし……怪我がなくて良かったです」
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