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クリアカップを拾い、ゴミ箱に捨てるとツーブロックの男が近くにいたスタッフに事情を説明していた。会話が終わったのと同時にアヤが彼に声をかける。
「弁償します。すぐに戻ってくるのでそこで待っていてください」
ユニに目配せをしてから、アヤはツーブロックの男が飲んでいたメロンジュースを買いに向かった。
「律儀なお友達ですね」
「多分……罪悪感で苦しみたくないのもあると思うので彼女のために協力してくださるとこちらも助かります」
白髪の男との出来事で異性に対して恐怖心が芽生えたのか、ユニはツーブロックの男と一定の距離を保つようにしている。
「どこかで出会ったことがあったりしますか?」
「いいえ。初対面ではないかと」
「ぼくもあなたみたいな奇麗な人と関わりがあれば忘れないはずですし、気のせいですかね」
さらりとドラマのワンシーンのような台詞を口にするツーブロックの男を警戒するようにユニが見上げた。
「お待たせしました」
手に持ったメロンジュースをこぼさないように走ってきたアヤがユニの隣で立ち止まり、肩で息をする。
「わざわざ、ありがとうございます」
「迷惑をかけたのはこっちですから」
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