八雲ユニ 1回目

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 ユニが白髪の男の鍛え抜かれた細身の肉体を確認するように視線を動かす。先程までプールで遊んでいたようで全身が濡れていた。 「ここに来たのは、今日が初めてでして……そのミッドミッドナイトがどんなものか知らないんですが」 「この時間帯だけ男女で参加をできる特別な施設や限定アイテムが買えたりするようなイベントです。今みたいに、自分好みの初対面の女性を誘ったりすることもしばしば」 「カップル促進イベントでもあるんですね」  ユニが人の良さそうな白髪の男の整った顔立ちを観察するように見つめる。 「実はおれも欲しいものがあって。もちろん、お姉さんが嫌なら断ってくれてもオッケーですが」 「手を繋いだりとか、しなくても良いんですよね」 「残念。イベント中は手を繋ぐのがルールだって教えるつもりだったのに」  笑みを浮かべ、ユニは白髪の男の誘いに乗った。  お礼の言葉を並べつつ、さりげなく白髪の男はユニの右手首を握りしめる。有無を言わせず彼女の腕を引き、限定アイテムが売っているであろう方向へ彼は歩く。
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