プレシャスプレイス

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 田中先生が教室を出てしばらくして、止まっていた時間が動くかのように、クラスにざわめき出した。 『マシン、良い話するじゃん』だとか『いや、政治家ってほぼ世襲みたいなもんじゃん』だとか、『青臭いヤツだぜ』、『主人公に俺はなる』だとかが聞こえてきた。  私は、田中先生はあんなにデコがテカっているのに頭頂部は案外フサフサなんだな、と思った。その時の私の感想はそれだけだった。田中先生が頭を下げた時、バッチリ見えたのだ。見たくはなかったけど。
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