三度目の再会

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「連絡先教えてよ」 「……あと一回、もし三度目の再会があったらね」 そう言い残して大通りに走る。 男手一つで育ててくれた。 一人で生き抜く強さというものを教えてくれたその父さんは、もう一人では生きてはいけない。 直行直帰、残業なし。素敵なバル巡りももうおしまい。 読書しながらまったり家飲みが最高。 父さんと二人でそうやって、この先何年も何十年も一緒に生きていく。 私はそれを犠牲だとは思わない。 大切なだけ…ただそれだけの事。 あと一回…そんな奇跡、起こるはずない。 麻生…(きみ)とはもう二度と、再会する事はないよ。
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