三度目の再会

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「どーも」 「…」 昨日の今日で麻生との三度目の再会。 「連絡先、聞きに来た」 「…これはズルじゃない?」 会社の前で待ってるだなんて、思ってもみなかった。 「三度目の再会…約束しただろ?守れよな」 仕方ない。 一秒でも早く帰りたい私は、携帯を取り出し電話番号を麻生に見せた。 『燃えてる』 父さんからの通知が画面に表示された。 「え、え…やだ、嘘…」 麻生が動揺する私の手を掴み大通りに向かって歩き出す。 「大丈夫だ。とにかくかけてみろ」 繰り返される呼び出し音。 タクシーに押し込まれた後、麻生に促されるままに運転手に住所を告げた。 繋がらない携帯を耳に当てたまま、唇を噛み締める。 「大丈夫だ」 繰り返される呼び出し音。 不安に満ちた自分の呼吸。 優しい麻生の声。 流れっぱなしの涙を、繋いでいない方の左手で拭ってくれる。 「大丈夫だ」
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