三度目の再会

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「おかんみたい…」 半個室の通路側に座り無意識に大皿のサラダを取り分けた私に、斜め向かいの真ん中分けくんが笑いながら言う。 「…あ、ごめん。食べたくも無いもの取り分けられたら困るよね」 この行動は、女性陣側からすると『家庭的アピール』による『抜け駆け行為』と思われる事が多い為注意が必要である。 あー…無意識って怖い。 いてくれるだけで良いって言われたのに。 「でかい皿がずっと置きっぱなしにならない様にやってくれたんだろ?」 向かいに座っている眠たそうな顔した顎ひげくんがそう言って、取り分けたサラダを真ん中分けくんに手渡した。 ボール送りの要領でサラダが全員に行き届く。 「違う違う、悪い意味で言ったんじゃないっスよ‼︎気が利いてるって意味で…」 げッ…悪い意味の方が良かったのに。 後輩たちは特に気にしている様子は無かったけれど、私はその後ひたすらに黒子(くろこ)に徹した。 四人の男性陣に向けて女性陣三人の良い所をここぞとばかりにアピールする。話題の提供にフォロー、お酒の追加注文や残飯処理…。 みんなが楽しそうだと私も嬉しい。
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