三度目の再会

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「…どーも」 開始三十分で勝手に席を替え、麻生が私の向かいに座った。 「…出会いのチャンスを二度も無駄にするんじゃないよ、青年」 「どこのババアだよ?大して変わんねぇだろ、俺ら」 麻生が笑う。 「麻生、いくつ?」 「二十五歳(にじゅうご)。そっちは?」 「プラス四」 「ほら、変わんねぇじゃん」 「…変わるっつーの」 「おかんのおすすめプレート、お願いしまーす」 …どうやら好みのタイプがいなくて食に走るつもりらしい。 おかんはせっせと料理を盛り付けて麻生に差し出した。 『耳かき棒がない』『新聞がない』『リモコンがない』 父さんからのメールに返信を送る。 「…今日も男から?」 「まあね」 あれがない、これがないって… 最近こういうのが多くなってきた気がする。 数時間後、酔った友人を抱えてタクシーに乗りそのまま私も帰宅した。
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