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「日向子、ひなこ?」
いつのまにか眠ってしまったようだ。トレーラーハウス内のソファーで聡志に起こされた日向子は目覚める。
「正人は?」
「部屋でテレビ見てるから大丈夫。
日向子も今日はお疲れ様。気を使っただろ? 」
「ううん バーベキュー 楽しかった。正人見た?
すっごい嬉しそうだった」
「ああ。見てて こっちまで楽しくなったよ。
正人には、これからもいろんな経験をさせてやりたい。ずっと笑っていて欲しい。
もちろん日向子にも。
二度と辛い思いをさせない。頑張るよ。
いつか俺を心から愛してくれる日まで 」
「あ、愛してるわ。急にどうしたの」
優しい瞳に守られながらも、日向子は心の中を見透かされたようで、気まずくなる。
ごめんなさい。
私はあなたに釣り合わない
今日、芽衣の悔しがる顔と雄太の落ちこむ姿に喜びを感じたの
何年経っても忘れられない
幸せになりたいけど、駄目なの
聡志だって知ってるはず
私がどれだけ最低なのか
いかに執念深いのか
お義母さんを裏切っている
正人や桜ちゃんも巻き込んでいる
だからそんな風に優しくしないで
これ以上、心に踏み込んでこないで
「無理やり 言わせちゃったな。ごめん」
「ううん。謝るのは私の方で……」
続きはキスで塞がれる。ソファーから抱き上げられるとダブルベッドに押し倒される。
避妊具を使わずに済むって便利だね、とふざける聡志に困惑する。
「待って シャワー浴びてない!」
「構わない。可愛い声、聞かせて」
あっという間に服を脱がされる。キスの嵐にめまいがする。
「キスマーク 全身につけるから。
見えるところも、見えないところも」
下着の奥に伸ばされた指を、拒むことはできない。必死で声を押える。聡志の唇が額から順番に目、頬、唇に長く留まった後に首筋、 胸元、乳房へと、赤い刻印を残しながら進んでいく。日向子が耐えるようにベッドのシーツを掴むと、大きな手が優しく両手首を包みこむ。下からは足の甲、膝 、太もも。そして、秘部へとたどり着いても、なお愛撫は止まらない。全てを見られ、この体には聡志が触れていない場所など、もう、どこにもない。
「もっと。もっと俺の名前呼んで」
「さとしの、ことしか、見えないっっ」
「……すごく、嬉しい」
絶頂を迎えて日向子は 自分の口から出た言葉に驚く。聡志の腕の中はたまらなく甘い。だからトレーラーの入り口の物音に気づかなかった。
私達夫婦の営みを雄太は苦悶の表情で眺めていた。
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