盂蘭盆会(うらぼんえ)

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病院では右足首の骨折と診断され、ギプスを巻いての帰宅となった。 2年間サッカーの練習を頑張り、初めて(つか)んだレギュラーが絶望的となった正人は気の毒に思えるほど落ち込んだ。それでもできることはやりたいと、健気にネットで見た トレーニングを家でこなす。 正人を通院させる間、日向子は毎日棚の一番奥の本を開いた。婚姻届を食い入るように見つめる。 時間の経った暗赤い血の跡と、正人の流した真っ赤な鮮やかな血の色が、日向子の心に新たな傷をつける。 あの日、生まれたばかりの正人を汚物のように扱った芽衣を決して許さない。 体の内側ではなく、外に飛び散る鮮血なら 私がいくらでも流してあげる けど一人じゃない あなたも一緒に怪我をして 体中の血がなくなった方が アウトよ 日向子は夏の暮れゆく夕日を見て、真っ赤な血の海を泳ぐような錯覚を覚えた。そして夜の闇に堕ちていく。夜明けまでの道はまだ見えない。
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