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「悪人め!包丁?あんた 自分で 何言ってるか分かってんの!?」
「大丈夫。正人の骨折もそうでしたけど、子どもの怪我なんて偶然です。大人がそばにいても起きる時は起きる。ご存知では?」
「桜を人質に取るなんて……」
「まさか。今日は楽しいティーパーティーです。
お義母さんもいるんですよ。
前夜祭は甘いお菓子なら、後夜祭はスパイシーな肉料理といきましょうよ。ご希望なら共食いしますか?」
共食いの意味知ってる?
お互いに食い合うことの他に、互いに利益を奪い合い、最後には共に損をするんですって。
私たちにお似合いでしょう?
「……もっと早くあんたを壊せばよかった」
「2月3日はごちそうしていただけますね?」
玄関から恵子の声が聞こえる。桜も一緒に帰ってきたようだ。電話は突然切れた。
受話器を置いた直後に、恵子がリビングに入ってきた。
「あら、ひなさん早かったのね」
「はい、道が空いていました。桜ちゃん、ほんの少し息抜きしよう」
「おばさん、こんにちは。今日はありがとう。
昔はよくお菓子作ったよね。うれしい」
桜は顔色も悪く以前より痩せた。かなりの寝不足もあるのだろう。想像以上に喜ぶ桜を日向子は優しく迎え入れた。
2月の節分には鬼が出る。
最後まで人でいられるのは、いったい誰だろう?
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