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「あっ、ナカヤマちゃんってば、もしかしてやいている? 俺が他の女といるのは嫌?」
メンジは彼女の心の機敏を見逃さなかった。彼女の心を射止めるためにも、ここは問いただすべきだと感じる。
「だ、だれがやきもちをやくものですか! あなたの人生です。そうしたいのであれば、勝手にすればよいではありませんか」
ナカヤマはムキとなった。指名客とこんな風にしょっちゅう口論になっていたなと、メンジは懐かしい気持ちとなる。だから、彼女が本心からそう言っているわけでないことは、彼にはわかっていた。
メンジはすかさずナカヤマの手を取る。
「ふたり以上の妻を持ちたいとは、あまり思っていないよ。ううん、もう思っていない。俺にはナカヤマちゃんがいればいい」
それはけっしてその場しのぎの殺し文句ではなかった。メンジは心からナカヤマを求めている。
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