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「お前なあ、たとえデブでもブスでも、服がダサくても、世の中に幸せな人間はいっぱいいるんだ。他人に自分の価値観を押しつけるなよ」
ダンハの身長は百七十センチメートルくらいだろう。メンジは腕を組んで、自分より背の低い彼に威圧感を与えた。
「……」
ナカヤマはそんなメンジを見つめている。
「僕は向こうで絵を描いてくるよ」
ダンハはむだ話もここまで思ったのか、はたまたばつが悪くなったのか、その場を後にした。
「自分自身が商品となる仕事をしていたあなたのことだから、他人の外見に厳しいのかと思っていましたが、そうではないのですね」
ナカヤマはメンジに言う。
「ナカヤマちゃんの言うように、ホストをしていた時は見た目に気をつかっていたけれど、他人もそうであれと強要はしないよ。俺はコンプレックスの塊だから、今の自分というものに満足している人はむしろうらやましくある」
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