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琴絵は胸元に戻った首飾りに触れた。
「なくしてしまったかと思っていました……」
「佐代原の邸で拾ったんだ。見つかってよかった」
「ありがとうございます、旦那様」
振り返って微笑んだ琴絵の瞳が潤んでいる。
(綺麗な瞳だ)
憲斗は思わず琴絵の目もとに触れた。
「あ、あの……旦那様?」
突然顔に触れられて動揺している琴絵が可愛くて、憲斗は妻をひょいと抱き上げた。
「きゃあっ」
腕の中で固まっている琴絵を寝台に運び、そっと下ろす。
「琴絵の目は形がいい」
傍らに腰を下ろし、憲斗は自分を見上げている妻の頬を撫でた。
「顔は卵形で綺麗だ。髪は艶やかで美しい」
長い髪を一筋掬って唇に当てると、琴絵は恥じらうように視線を反らした。
「肌も白いから、お前が恥ずかしがると、すぐにわかる」
「意地悪をおっしゃらないでください……」
小さな声でそう言って、もぞもぞと布団の中に逃げていく琴絵を見て、くすっと笑う。
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