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episode1 わたし
「今日も楽しかった!ありがとうね!」
今日1番、とびきりの笑顔で客を見送り、
私の一日が終わる
都会でもなく、田舎と呼ぶにも中途半端な街の
はずれの小さなスナックが私の職場
私、小鳥遊 唯は
今年で40歳になるというのに、
やりたいことも特になく、
周りに求められるままに働くこと十数年
独身、バツイチ
それなりに人生の荒波には揉まれてきたつもり
周りから見れば夢も希望もない可哀想な独身女...と思われそうなものだが本人は全くそんなこと気にしていないので、これがまた厄介なのだ
むしろ一度結婚を経験したからこそ
今の自分の自由さがどれほど大切か身に沁みてわかっているし、自分にとって何が1番大切なのかは、今だからこそ胸を張って言える
1番大切なのは『わたし』
自分自身
仕事でも、恋愛でも、友達でも、お金でもない
『わたし』が『わたし』の機嫌をとらないで
誰がとってくれる?
何をするにも『わたし』が楽しくないと
周りを楽しませることなんてできない
40歳にしてこの答えに辿り着けた私は
最強なんじゃないかと思う
こんなスーパーポジティブな
私の人生を変える出会いが訪れるのは
もう少し先のお話
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