831人が本棚に入れています
本棚に追加
ぽかんとしてしまったのも束の間。
大臣の荒い鼻息ではっとして喋った。
「──っそんなこと、許されないわ! 条約違反ですわ! 吸血鬼達は何を考えているのですか。バカバカしいっ」
私の言葉に答えるように、大臣はキリキリと眉を釣り上げながら答えた。
「なんでも、王子と条約を更新したときに。討伐回数を制限したとのこと。既に上限に達した今。これ以上の討伐は拒否すると言っておりますが、本当ですか!?」
「な、なんだそれ。僕はし、知らないぞっ」
フィリスが慌てると、その場にいた高官たちも「それは本当ですかっ!?」慌てふためく。
条約の更新……大臣のその言葉を聞いて、はっと。思いあたることがあり。フィリスに私も尋ねる。
「フィリス、待って。落ち着いて。ほら、レヴァンティンの侯爵が変わるから。条約の更新を現在の国王と、未来の国王であるフィリスに対して厚かましくも。どちらの証印を求めて来たって、フィリスが前に話していたじゃない。
しかもなんだか、凄い分厚い書類を送りつけてきたって……そこに、討伐に関することはどんな風に書いてあったのかしら?」
すっかりと忘れていたことを思い出しながら、喋ってみると。周囲も私の言葉が気になったようで、いつの間にかしんと、していた。
そしてフィリスに「どうなんだ?」と、注がれる視線にフィリスは何故か、目を泳がせていた。
「た、確かにそんなことはあって、サインをしたのは覚えているけど……」
「けど?」
「な、中身なんか覚えている訳がないだろっ!?」
ばっと勢い任せに。金髪の髪を振りみだしながらフィリスは声を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!