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吸血鬼はそもそも数が少ないが、血を欲することや圧倒的な魔力を持つことから脅威と見做されてきた。
それを気の遠くなるほどの大昔に、グリアス国に大変強い魔物が現れたとき手を貸して、大いなる魔物を倒し。
その功績の見返りに領地を得た歴史があるそうだ。
それがレヴァンティンの始まり。
そして、グリアス国は吸血鬼の存在を国民として認めたから、魔性の存在でもあっても国内外。討伐の対処にならない。
でも国が……吸血鬼が暴れたと言ってやれば。
討伐を拒否するのは、やはり魔物に加担する野蛮な種族だと、各国や国内に言ってやると言えばいい。
そうやって脅して、どちらが立場が上かわからせてやればいいと──「ね? 名案でしょう?」と、微笑むと。
するとフィリスは「さすがアメリアだっ!」と、席を勢いよく立ち上がり。
パァッと明るい表情になり。
フィリスはそうだよと、喋る。
「もし、こちらに不手際があったとしても、来年の税をほんの少し、軽くしてやるとか。褒美でも与えてやればいいのか。むしろ、それが目的でそんなことを言って来てるんじゃないかっ!?」
「そうね。何かゴネて来たら、適当にご褒美をあげたらいいのですわ。やりようは、いくらだってあるから大丈夫よ」
ふふっと、笑い。口元に手を持っていこうとしたら、パシリとフィリスに手を掴まれた。
「アメリア。君は美しくて、聡明で本当に素晴らしい。僕の妃は君しかいない」
情熱的に言われると悪い気はしなくて。
すっと迫ってくるフィリスに、瞳を閉じて。
今度こそ受け入れるのだった。
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