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問題はある。このまま結婚関係を続けたら、クラリスは王都に戻れない。クラリスの計画としては、二年間はおとなしくウォルター領で過ごし、二年後に離婚をしたら王都に戻って、王族に再度、仕える予定なのだ。
「旦那様がわたくしを愛してくださるというのであれば、その感情を止めることはできません。ですが、わたくしは旦那様を愛さないかもしれません」
「かまわない。俺が君を想っていればいいだけのこと」
ギシッとソファが軋んだのは、ユージーンが少しだけ体重のかけ方を変えたからだろう。先ほどよりも、互いの距離が近くなったように思わなくもない。
「それでは、当初の約束と異なります。わたくしは、この結婚の先にあるのが離婚であることを承知でこちらに参りました」
「それは悪いと思っている。だが、先ほど君も言っただろう? 俺の気持ちを止めることはできないと」
ユージーンの両手が伸びてきて、クラリスの頬を包んだ。目の前にユージーンの顔がある。
「ここには、君にとって必要な毒が大量にある。ここを離れると困るのではないか?」
クラリスの紫紺の瞳をのぞき込むようにして、彼はそう言った。
「それには心配およびません」
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