第四章:辺境伯 x 毒女

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 メイをはじめとする侍女たちに徹底的に磨かれ、薄手のナイトドレスを着せられた。寝るだけであるはずなのに、髪もゆるくまとめられる。 「それでは、私たちは失礼します」  メイまで部屋を出ていった。いつもであればないはずのワゴンが、部屋の隅に置かれている。  ユージーンには毒師について説明をしようと思っていたのに、彼はとうとう部屋にやってこなかった。そしてもう、寝る準備がすっかりと整っている。  もしかしてユージーンは来ないのだろうか。  そもそも魔獣討伐から戻ってきたばかりである。きっと疲れて眠ってしまったのだろう。  別に急ぎの話でもないし、彼の都合のよいときに伝えればよい。  そう思っていた矢先、控えめに扉が叩かれた。  ――コツ、コツ……コツ、コツ。  それは部屋の外に通じる扉ではなく、部屋と部屋をつなぐ内側のほう。つまりユージーンの寝室と繋がっている扉のほうである。 「は、はい……」  まさかそちらの扉が開くとは思ってもいなかった。クラリスは柄にもなく緊張する。 「失礼する」
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