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クラリスが三歳になったころ、ありとあらゆる毒を摂取してもまったく効果がない、ということに母親は気がついた。というのも、クラリスは毒師である母親が採取していた毒を、誤って口にしてしまったのだ。周囲の者は慌てて解毒薬を準備しようとしていたが、その間、クラリスはけろっとしていたとのこと。
念のため、母親は解毒薬を飲ませたが、顔色一つ変えなかったクラリスを不思議に思い、血液を採取して検査した。すると、ありとあらゆる毒に、なんの反応も示さなかった。
いくら毒に身体を慣らしている毒師といえども、少なからず毒の影響は受ける。そして母親は、クラリスを毒師にするつもりはなかったため、毒の訓練をさせていない。
となれば毒への耐性は生まれながらに持ったものとなる。毒師からしてみれば理想的な体質であるし、毒慣らしの訓練も不要。
それでも母親は、クラリスを毒師にするつもりはなかった。
しかし、転機が訪れたのは十歳になったときだろう。急激にクラリスの体調が悪化した。
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