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母親は、クラリスが未知の毒でも口にしたのかと思ったそうだ。解毒薬を調合するために、すぐに血液を採取し検査をしたところ、それは毒の影響によるものではなかった。むしろ、身体が毒を欲している。
解毒薬の代わりに毒を飲ませると、クラリスは回復に向かう。そのようなことが二、三回と続けば、クラリスは定期的に毒を摂取しなければならない体質であると、両親も知る。
それから一か月後、クラリスは王城へと連れていかれた。そこで出会ったのがアルバートである。
「わたくしがこのように毒を欲するようになったのも、妊娠に気づかなかった母が毒師として毒を取り込んでいたため、その影響を受けたのではないかと思われているようですが、こればかりはわかりません」
クラリスの体質を知った母親は、自分のせいだと責め涙を流した。
クラリスはそれを知っている。
そんな母親を宥めていたのは父親であるし、そもそもクラリスはこの体質を悲観していない。
また、弟のデリックが毒師になったのも本人の希望である。それは、近衛騎士として働く父親よりも、毒師の母親に強く憧れを抱いたらしいからだ。
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