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あの二人から結婚をすすめられたのだ。
「ハリエッタ様が殿下の婚約者となられましたので、今度はハリエッタ様の毒見役もと思っていた矢先です。お二人からこの結婚を提案されました。いつの間にか国王陛下にまで取り込んで、断れないような形にもっていったのです」
「その婚約披露パーティーで、君が何をしたのか。俺はネイサンから聞いて知っているのだが。もしかして、アルバートの食事を奪っていたというのは……」
「ものの見事に毒まみれでした。むしろあれは媚薬です。殿下をそのまま寝台に引きずり込んで、既成事実を作ってしまえという思惑が満ちておりました。わたくし、毒だけでなく媚薬にも耐性がありますので。むしろ、薬という薬が効きません」
少し喉が渇いたクラリスは、毒入りのお茶に手を伸ばす。
その様子をじっくりとみていたユージーンが口を開く。
「では、その婚約者のハリエッタ嬢のグラスの中身をぶちまけたというのは?」
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