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「はい。あの飲み物にも見事に毒が仕込まれていました。と言いましても睡眠薬です。こちらもハリエッタ様を手籠めにしてやろうとする思惑がひしひしと感じました。おそらく犯人は、メンディー侯爵子息ではないかと。いつも近くをうろうろしていると、ハリエッタ様がおっしゃっておりましたので」
足を組み直したユージーンの眉間には、かすかにしわが刻まれた。
「ですが、あのときの対処法はやりすぎました。殿下からもハリエッタ様からも叱れました。もう少し、うまくかわす方法があったのではと、後になってから思った次第です」
「つまり、君が毒女と社交界で呼ばれていたのは?」
「それは、独身を貫き通していたから、でしょうか? もしくはああやって、殿下の食べ物を奪っていたから、見る人によってはそう思われたのかも? それでも、殿下を毒から守るのがわたくしの役目と思っておりましたので」
ふむ、とユージーンは頷く。
「あの、旦那様。旦那様もこの結婚には乗り気でなかったのですよね。そのため、離婚前提での結婚を提案されたわけですよね?」
「そうだな」
彼の頷き方が、少しだけ上の空に見えた。それでもクラリスはたたみかける。
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