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頬を包む彼の手を取り払うかのように、クラリスは彼の手に自身の手を重ねた。
「わたくしが王都に戻ったとしても、定期的に毒草やらなにやらを仕入れてくれる商人と契約しましたから」
勝ち誇ったかのように、自信に満ちあふれた笑みを浮かべる。
「うん、わかった。その契約は、即刻、無効とさせてもらうように動く」
「そ、そんな……」
すぐにやり込められてしまった。
「クラリス、諦めろ。俺は絶対に君とは離婚しない。俺は蛇のようにしつこいぞ?」
そう言った彼は、蛇のようにペロリと舌を出して唇を舐めた。たったそれだけなのに、彼には妙な色香が漂い、胸の奥がぐずりと音を立てた。それはアルバートには感じたことのない変な気持ちである。
「……わかった、今日は我慢しよう」
ユージーンは目尻をやわらかく下げた。先ほどまでとは違うその仕草に、またとぎまぎしてしまう。
「我慢って、何をですか?」
少しだけうるさい心臓を押さえ込み、クラリスはゆっくりと尋ねた。
「これから君を抱こうと思ったのだが……」
クラリスはぐわっと顔中が熱くなった。
「な、な、な、な、なにをおっしゃっていらっしゃるのでしょう」
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