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今日は抱かないと口にしたユージーンが、熱い口づけをしながら、どさくさにまぎれてソファの上に押し倒してきたのだ。
「やぁ……んっ……」
これ以上、許してはならない。彼がもたらす甘い口づけによって身体がとろけ始めたころ、クラリスは自由になる両手で、彼の胸をドンドンと叩いた。
それで我に返ったのか、ユージーンがすっと身体を引き、やっと唇が解放された。
「だ、だ、旦那様。そうやって隙あらば押し倒そうとするのは、やめてください。我慢してくださるはずですよね?」
「ああ、すまない。あまりにも君との口づけが心地よすぎて」
真下から彼の顔を見上げると、その鉄紺の瞳には、情欲が見え隠れする。
「今日はここまでにしよう。明日以降、いろいろと相談したいことがある。時間をとってもらえるか?」
「あ、はい。もちろんです」
ユージーンがクラリスの身体を抱き起こす。
「だがな。君は俺の妻だ。それを忘れないでほしい」
「は、はい。期間限定の妻、ですよね? この結婚は離婚約ですよね?」
「なるほど……」
まるで口づけの名残を味わうかのように、彼はペロリと唇を舐めた。
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