第四章:辺境伯 x 毒女

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 温室内をぐるりと見回して、ここで育てている植物の成長を確認する。まだ摘み頃の花はないが、水が足りていないようだ。 「あの、旦那様。花に水やりをしてもよろしいでしょうか?」  クラリスにとってはいつものこと。だけどユージーンはこの温室に来たのは初めてあるし、きっと手持ち無沙汰になるだろう。 「そちらに休憩用の椅子がありますので」  そこで座って待ってもらうつもりだった。  しかしクラリスがじょうろを手にして水を汲みに行こうとすると、ユージーンが後ろからついてくる。  水は井戸から汲み上げる必要があるが、その井戸は温室の近くにある。彼はクラリスがやろうとしていることに気がついたようで、ひょいっとじょうろを奪うと、井戸から汲んだ水でじょうろを満たした。 「あ、ありがとうございます」 「温室まで俺が運ぼう」  水によって満たされたじょうろはそれなりに重いものの、クラリスが運べないほどではない。それでも彼の気持ちをありがたく受け入れる。 「ここで、大丈夫です」  ユージーンからじょうろを受け取ったクラリスは、それを傾けて草花に水をやり始める。土の色が変わり始めると、湿った土の匂いが漂う。
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