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「君は、ここで何を育てているんだ?」
「毒草と毒花が主ですね。温室で育つものを植えました。温室は気温が安定しておりますから、毒草も育てやすいのです」
相手がユージーンであるならば、何も内緒にする必要はないだろう。
「だが君は、裏の森にもよく足を伸ばしていると聞いているが?」
「ネイサンからお聞きになったのですね?」
じょうろからは、ゆっくりと水が流れ出ている。
「そうだ。愛しの妻が、どのように過ごしていたか、確認は必要だろう?」
惜しげもなく言われると、なぜか恥ずかしくなる。少しだけ頬が熱くなったが、それを悟られないようにと、クラリスは平静を保つ。
一歩進んで、次の毒草に水をあげる。
「そうですね。裏の森には毒をもつ植物も豊富ですし、生き物もたくさんいると聞いています。ですから、そちらの採取のために森に入っていたのですが……。あまり、こちらの人は森に入るのは好きではないようですね」
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