第四章:辺境伯 x 毒女

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 たった一言なのに、その言葉にドキリとした。いったい、何を言われるのだろう。 「討伐団に参加した私兵たちの帰還を祝って、慰労パーティーを開く。いつも、戻ってきてから五日後に開いているから今回もその予定だ。パーティーの準備は、ジョゼフを中心に動いている」  クラリスがウォルター領に来てからというもの、そういったパーティーやましてお茶会と呼ばれるような催しものに参加していない。近場で開かれていないし、招待状も届かないのだから参加しようがない。王都にいたときは、アルバートにくっついてさまざまな行事に参加していたというのに。 「そのパーティーで、君を紹介したい」 「んぐっ」  パンが喉につまるかと思った。慌てて毒入り紅茶を飲む。 「それから、結婚式も挙げたい。相談したいというのはこの話だ。君の家の都合もあるだろうし」  今度は飲んでいた毒入り紅茶を噴き出しそうになった。 (離婚前提の結婚であるのに、そこまでやる必要はないのでは?)
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