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キャリーナは夕陽に染まる街並みを眺めていた。 そこへザギルが飛んできた。くちばしに溢れんばかりの小さな白い花を咥えている。 ザギルはそれを杖を持たない方の上を向いている右の手の平にパラパラと置いた。 キャリーナは今日1日ザギルがいなくて淋しかったので、弾むような声で話し出した。 『ザギル!休みたいと言うから今日は会えないかと思っていました!こんな夕方にどうしたのですか?』 ザギルはいつものように肩に止まった。 『いやなに、あんたに届けたいものがあってね。 この花の花言葉は知ってるかい?』 キャリーナは右手に置かれた花を見つめた。 それは小さな小さな白い花。 すずらん。 花言葉は“幸福の再来”…。 彼女は言葉に詰まった。 『今日ひいばあちゃんのところに行ってさ。あんたの昔話を聞いちゃった。』 キャリーナは黙って聞いている。 『…もういいだろ、仕返しは。 今度はもう一度自分の幸せに目を向けなよ?』 石像の目から涙が溢れた。 『望めはまだ神様のところに行けることは、自分でもわかってるんだろ? こんなところで力を持て余すなよ。』 キャリーナはしばらくしてから『…ありがとう』と呟いた。 すると石像の左胸から光の玉が飛び出して、一番星に向かって進んでいった。 ザギルは羽を振りながら『ひいばあちゃんも喜ぶぜー!』と叫んだ。 光の玉が見えなくなると、止まっていた石像の肩が冷えてきた。それを足で感じ、本当に行ってしまったんだとしみじみ感じた。 『淋しくなんかないけどね。かかか。』 ザギルはそこに留まり、星でいっぱいになるまで空を見上げていた。
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