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「私・・・?私のことは後で・・・。それよりも、あなた自分のこと何か思い出した?」
女性は自分自身のことを隠すように言った。
男は女性に聞かれて改めて考えてみたが、やはり何も思い出せなかった。
それに、何だか体中が疲れているようだった。
男はベッドに体を預けた。
「ごめん、何だか疲れているんだ。少し休ませてくれないか」
男は女性に言った。
女性は病室の入り口に全身を現した。
「オッケー。また来るね。どうせあなたも私も、この病院から出られないんだから」
女性はそう言うと左手を振りながら去って行った。
「俺も彼女もこの病院から・・・出られない!?一体どういうことだ・・・?」
男は一生懸命考えようとしたが、疲れの方が勝っていた。
意識が段々と遠のいていく。
瞼が閉じたような感覚を最後に、男の意識は遠くの彼方へと吸い込まれていった。
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