3.食事

1/5
前へ
/56ページ
次へ

3.食事

目が覚めたときは、男の体はベッドの中だった。 どうやら意識が遠のいたまま眠ってしまったようだった。 男がふと病室の入り口を見ると、扉は閉まっていた。 男はまだ完全には眠りから覚めていない体を起こした。 頭の中がぐるぐると回っているようだった。 入院・・・。 男はなんとなく自分の掌を眺めてみた。 男は自分が誰なのか・・・そして、自分はどうしてここにいるのか・・・。 様々な疑問が生じたが、どれ一つとして答えが見つかることはなかった。 たった一つだけ分かったことは、自分の名前がトラシュマコス・ソクラだということだけだった。 男は立ち上がった。 扉の前に立つと外から声が聞こえた。 「茂木平さん。またトイレですか?」 「モギヘイさん?」
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加