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男は少し気まずさを感じながら返事をした。
昨日は気が付かなかったが、病室の外は広いスペースになっていて、テーブルや椅子が並んでいる。
辺りにはごそごそと体を動かす人や、テレビの前に釘付けになっている人がいた。
おそらく茂木平さんと思われる年配の男性は、看護師に体を支えられながら腰を曲げてゆっくりと歩いていた。
男は二人を遠巻きに見ながら椅子の一つに腰掛けた。
テレビを見ていた中年男性がちらっとこちらを見たようだが、男と目が合うとすぐに視線を戻した。
男は自分の中に一つの疑問が浮かぶのを感じた。
ここは一体何の病院なんだ?
男は再び辺りを見回したが、その答えとなるものは見つからなかった。
代わりに一人の看護師がワゴンを運んでくるのが見えた。
・・・食べ物の匂いがする。
あの女性がワゴンに近づいて看護師に声をかけた。
「わー、焼き魚!私、焼き魚大好きなんです」
女性は手を叩いて飛び上がった。
男は自分の腹が鳴るのを感じた。
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