4人が本棚に入れています
本棚に追加
4.違和感
シナリオ・・・何かひっかかる言葉だった。
自分は映画関係者や作家などではなかったはずだ。
なのにどうして?
記憶は確かではないが、男の心の奥で自分が映画関係者や作家などではないという想いがちらちらと見えていた。
ふと気づくと男の目の前に食事の乗ったトレーがあった。
男は長い時間考え事をしていた。
焼き魚の香ばしい匂いが男を現実に戻した。
ふいにあのときの映像が頭に浮かぶ。
男は光の方へと手を伸ばし、必死にその光を掴もうとする。
その瞬間、男は現実へと引き戻された。
男は焼き魚の身をほぐし、口へと持っていく。
魚の匂いが鼻を抜ける。
この匂いは紛れもない現実だった。
気づけば周りの患者は皆、食事を終えていた。
最初のコメントを投稿しよう!