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「だからー。あなた、ここは初めてよね?」
女性の声には苛立ちが少し含まれていた。
一体何と答えたらよいのか。・・・というより、そもそも質問の意味がわからなかった。
やがて霧の中から姿を現すように女性の姿がくっきりと現れた。
女性はピンクのパンダ柄のパジャマを着ている。
そして、おさげの髪に赤縁のメガネをかけている。
目は少し吊り目で、左側の眉毛の上に、小さなほくろがあった。
身長は男より高かった。
と思ったが、どうやらこれは男の勘違いのようだ。
女性の視線は男に向けてかなり下げられていた。
だから、状況から言えば、女性は立っていて、男は椅子に座っているようだった。
男はゆっくり視線を下げると、やはり同じようにパジャマを着た男自身の足が見えた。
ふとその上方を見ると、男の右腕からチューブが延びていた。
そのチューブの先には大きなプラスチック製のパックがあった。
これは・・・点・・滴?
俺は一体誰なんだ?
男の頭の中に疑問が浮かんだ。
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