夜に虹がかかるのは

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#5  車がバウンドし、克史の体がシートから浮き上がった。  トラックは路肩を乗り上げ、歩道に鼻先を突っ込んだ状態で停車していた。  野次馬が数人立ち止まってトラックを見ている。 「子どもは・・・!」  フロントガラス越しに目を皿のようにして辺りを見る。先ほど飛び出して来た子どもが、悠々と自転車に乗り歩道を走って行く後ろ姿が見えた。 「よかった、無事だったか」  全身から一気に力が抜けた。  床にケータイが転がっているのが見えた。手を伸ばして拾い上げ耳を当てたが、すでに切れていたが、とにかく一度繋がったのだから連絡は来るだろうと思った。  しかし同時に、事はそんなに簡単ではないかもしれないと思った。  克史は運転中にケータイを使い、トラックを歩道に乗り上げてしまい動けない状態になっていたからだ。じきパトカーがやって来るに違いない。  警察に事情聴取され、会社に報告が行く。トラックが動かせたとしても、会社に戻されるかもしれない。上司の判断によっては、別のドライバーと交代させられるということもあり得る。  そうなれば、峯村さんの荷物は自分の手から離れる・・・。  克史は脱力してハンドルに全身を預けた。    遠くからパトカーのサイレント音が近づいて来るのがわかった。
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