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――キィィ……
まさかの、扉が開いた。
教員寮は、校長室と同じで魔力承認によって扉の開閉が可能になる。
つまり鍵媒体は必要ない。
大事な用事でもあったのだろう。ルクスは扉が閉まる前に出ていってしまった。
思いがけず開いた扉に首を突っ込むと、さらに開いたことで外に抜け出すことに成功する。
勢い余って廊下で一回転すると、コテンとお尻と頭の位置が反転した。
フリフリと尻尾を振って起き上がったフェリーヌは長い廊下を見つめる。
主の失態は使い魔にとってご褒美だ。
フェリーヌは器用に前足でカリカリして、パタンと扉を閉める。
任務を成し遂げたことで、三本の尻尾をフリフリ揺らした。
普段、外に出るときはルクスのフードかローブに包まれて移動していたことで、フェリーヌにとっては初体験の出来事である。
少ししてから再びクンクンと、床の匂いを嗅ぐフェリーヌは唐突に走り出した。
それは、ルクスが歩いて行った匂いの方向を指している。
角を曲がったところで急に立ち止まるフェリーヌは、他の自室とは明らかに異なる厳かな扉の前で、ちょこんと座り込んだ。
すると、一分も経たない間にひとりでに扉が開く。
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