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「誰かの使い魔を食ったりしないから、おいでよ?」
フェリーヌはなぜか毛を逆立て警戒しながらも、姿を現すと辺りを見回した。
「思ったのと違う珍しい見た目だねぇ。でも、消えてて正解だよ……可愛いものって、戦争の火種になるらしいよ?」
フィニスの言葉に耳だけを動かすが、部屋中を駆け回って受付に戻ってきたフェリーヌはつぶらな瞳を向ける。
ただ、毛は逆だったままで警戒心は解いていない。
「なんか、ボク嫌われてる? まぁ、魔法生物とかも興味ないからいいんだけどねぇ……。そういうのに詳しい人なら知ってるよぉ」
フィニスの言葉にフェリーヌは吸い込まれそうな青い瞳を向ける。
それでもフィニスの表情は変わらない。
「ルクスっていうんだけど、お節介の世話焼きでねぇ……。彼なら、校庭に向かったよ」
ピンと耳を立てたフェリーヌは、三本の尻尾を揺らして走り去る。
「なるほどねぇ。道理で、ボクを警戒していたわけだ」
フィニスの意味深な呟きはフェリーヌに届くことはなく、校庭を目指して廊下を高速移動したことで、生徒たちにとって突風のような惨事になった。
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