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校庭には早めの授業を終えた巨体に紫色のローブを着た教師が立っている。混ざり毛のない金髪に染められた髪を固めて、少しウルフラムに寄せた髪型をした後ろ姿がフェリーヌに気がついた様子で視線を向けた。
飛行術講師のリベルテ・シャスール。ルクスと同じ高等部二年を担当しつつ、中等部の生徒含めて飛行術を教えている”男性”教師だ。
「あらぁ、可愛らしい子ぉ! もしかして、迷子かしらぁ? 此処まで、よく生徒たちに見つからなかったわねぇ」
フェリーヌは魔法を解いてリベルテにその姿をさらしている。
先ほどのフィニスとは大違いだったが、しゃがみ込む巨体には距離をとった。
「あらら、ごめんなさぁい? こんな見た目だけど、怖くないわよぉ。優しいお姉さんだ・か・らっ」
つぶらな瞳が疑いの眼差しを向けているように無反応で沈黙している。
生徒たちも校内に入ったことで、リベルテとフェリーヌは少しの間見つめ合った。
「……待って。もしかして、あなた……。その愛らしさの中に、凛々しさのある瞳。”ルクスちゃん”の使い魔かしら?」
リベルテの言葉に大きな耳が反応すると、三本の尻尾を左右に揺らす。
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