14 豊になる国

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14 豊になる国

無責任な噂話は相変わらず一人歩きしていたが、私には色々としなくてはならない事があった。 まずは、港街エーラの視察。 エーラは海に面しており、漁業が盛んな街である。 そして、近日私の提案により、そこに南方貿易と北方貿易用の港と船が整備され始めたのだ。 エーラの街は貿易による多大なる恩恵を受ける事は間違いがなく、すでに何百人もの人たちがエーラの街に移住し始めていた。 私は、エーラの街に行くと、エーラ辺境伯と挨拶し、エーラ港を見せてもらう事にした。 輸出する船には、金やら銀がたんまりと積まれ、海賊船の抑止力となる兵士らも多く乗っていた。 私はこの貿易が成功することを確信して、エーラの街に3週間後にまた来た。 パパイヤ、パイナップル、マンゴー、アボカド、南国のフルーツは高値で取引され、エドバ城にも献上された。 そして、1番欲しかった鉄、鉛などの鉱物が北方貿易により運ばれてきた。 鉄は刀鍛冶師に渡され、鉛は古くなりつつあったエドバ城やルードラ城、エーラ城などの改築にふんだんに使われた。 鉛は火に強く凡庸性が高いため、城の屋根などをコーティングするのに向いているのだ。 つまり、火攻めされても、鉛が防ぐという訳である。 私は貿易の結果、豊かになっていくエドババーバ国を見て、満足気に微笑んだ。 そんな中、エドバ城の改築の様子を見に行くと、騎士長ベルゼンと遭遇した。 「ふん! 生意気な小娘が! たかだか本で得た知識で、戦の何が分かると言うのだ!? こっちは、剣を片手に血と汗を流して戦っているのだぞ!」 ベルゼンは私に会うなり、そう噛みついてきた。 まぁ、そうは言っても彼の思いにも一理あると言うものである。 「ベルゼン様、ベルゼン様のお怒りはごもっともでございます。 なれば、一つ私と勝負をしてみませんか?」 「勝負だと…? バトルボードゲームでもしろと言うのか?」 「いいえ、するのは、本物の(いくさ)にございます。 同数の軍を率いて、どちらが指揮官として有能か、勝負しようではありませんか?」 「俺が皇帝陛下の百戦錬磨の騎士長だと知っての挑戦か!?」 「もちろん、存じ上げておりますよ。」 私はニッコリ笑ってそう返した。 「泣いても知らぬぞ! 受けて立とう!」 「では、開始日は私が決めさせていただきますゆえ、ベルゼン殿は戦の場所をお決めください。 それで、条件は同じのはずでございます。」 「…ふん、よかろう。 戦いの場は、ルードラの森の中だ! 異存無いな?」 森の中か… 恐らくベルゼンは奇襲攻撃や伏撃が得意な戦法なのだろう。 ならば、こちらは… そうして、ベルゼン騎士長との真の戦いが始まろうとしていた。
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