22 オコです!

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22 オコです!

それから、釈放され、後宮の部屋に戻ったものの、私は元気がなかった。 皇帝陛下が私を牢屋に入れるとは思っていなかったし、私だけが勝手に気に入られていると思っていた。 それにしたって私だってこの国の為にえらく貢献してきたのに、スパイとは酷すぎる扱いでは無いか? 少し頭にもきていた。 それもあってか、私は口数も少なくなり、主に書物などを読んで後宮の部屋で生活した。 皇帝陛下が久しぶりに来られたが、ついきつい口調になった。 「…何を怒っておるのだ?」 とうとう皇帝陛下がそう問われた。 「いいえ、怒ってなどおりませぬ。 しかし、私は皇帝陛下同様とまで行かなくとも、随分とこの国に心を砕いてきたつもりにございます。 スパイなどと思われ、牢屋にまで入れられるとは、夢にも思っていませんでした。 いえ、元は私が勝手に隣国へ行った事が悪かったのでございますね。」 「その事はもう水に流せ!」 「流れぬ物もございましょう!? 私はこの国を心より愛しておったのでございます! 皇帝陛下にはそれが伝わっていたものと…」 私の目からは、悔しさか、悲しさか、情けなさか、涙が溢れてきた。 「…すまなかった… 俺がやり過ぎたのだ… 許せ… 泣くなよ…」 皇帝陛下は美しい洋服の袖で私の涙を拭った。 「汚れますわ…」 「構わぬ… 許せ… そなたをスパイだと思った事は一度もなかった…」 「は…? では、なぜ牢屋などに…?」 「…サイア王子よりそなたを王太子妃したいとの打診があった。 その直後、そなたがサイア王子と隠れて会っている事を知ったのだ…」 文章の要点が分からない。 「つまり…?」 「分からぬややつだな。 俺はサイア王子とそなたの仲に嫉妬したのだ。 それで、スパイなどと言いがかりをつけて…」 私はびっくりして涙が止まった。 「私は皇帝陛下の後宮の姫ですわ…」 「だからこそだ。 だからこそ、裏切られた、とそう思ったのだ。 俺は… そなたが好きだ… 戦を論じるそなたも、熱弁で俺を打ち負かすそなたも、甘い物が好きなそなたも、全てが愛おしい… そなたが何をしていても可愛いと思う俺はきっと、エティーナから見れば恋する変わった男だろう… そんなふうに思うそなたでさえ、俺は… 愛している…」 私はなんと返事をして良いか、言葉が全く出てこなくなった。 「良いのだ… 俺の片想いなのは重々承知している… 城下町までなら、外出を認めよう。 とりあえず今はそれで我慢せよ。」 皇帝陛下はそう言うと、私の手を取りキスを落とした。 その唇は僅かに震えていたようにも感じた。 そして、その日は本城へ帰って行かれた。
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