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23 おバカトリオ
皇帝陛下からの急な告白に戸惑いつつも、私はいつも通りの日々を取り戻しつつあった。
城下町までなら外出出来ると言う事は、城下町でいつものベルゼン殿とラッセル殿と私の3バカで酒が飲めると言う事だ!
私達、3バカはその日早速飲みに行った。
城下町には人が溢れており、エドババーバ国の最近の賑わいを見ているようでもあった。
私たちは馴染みの酒場に入ると、私はシャンパン、ベルゼン殿はビール、ラッセル殿は赤ワインを、それぞれ注文した。
そして、つまみに運ばれてきたのは、南方貿易によって輸入されてきた、アボカドのチーズ乗せ、だった。
これがまた、絶品なのだ。
「いやぁ、しかし、エティーナ殿が無事に釈放されて一安心したぞ!」
ベルゼン殿が言う。
「騎士長は相当陛下に釈放を進言していましたからね。」
ラッセル殿がバラす。
「おいっ!
それを言うならお前さんだって、騎猫隊を解散する、と陛下を脅していたでは無いか!」
ベルゼン殿がアボカドチーズを食べながら言い返した。
「まぁまぁ、お二人とも!
お二人の力添えがあって、陛下も心動かされたのですわ!
ありがとうございます。」
「とにかく乾杯しよう!」
「3バカに!」
「馬鹿!
軍師姫の復活に、だろ!」
そんなこんなで乾杯して、その日も大いに盛り上がった。
明け方近くになり、ベルゼン殿が酔い潰れた頃…
「ねぇ、ラッセル殿?」
「何ですか?」
「私は愛だの恋だのがよくわからないんだけど、それって欠陥品なのかしら?」
「ははは!
俺に相談したのは、間違いかも知れませんがね。
俺も昔は女性に興味が無かった。
だが、ある時に急に恋に落ちたのです。
不思議なほど、これが恋すると言う事か、と分かりました。
だから、エティーナ殿にもきっとそんな瞬間が訪れます。
焦らずにゆっくりとあなたの道をお進みなさい。」
ラッセル殿はそう言って干し肉を口に運んだ。
「そんなものですか…」
「そんなものですよ。
それよりも、仕事の話に戻しましょうか。」
「その方が性に合っておりますわね。
で、仕事の話とは?」
「近日、シャルナーク国が攻めてくる気配があります。
しかも、今度は軍師姫の噂も広まっていますし、向こうも大規模な軍を率いて来る模様。
油断はなりません。」
「陛下はどう動くのかしら…?」
「さぁ?
それが、話し合いの場ではうんともすんとも言いませんので。」
「情報ありがとう、ラッセル殿。
私も陛下のお考えを聞いてみるわ。」
そうして、酔い潰れたベルゼン殿にラッセル殿が肩を貸し、私たち3バカはゆっくりとエドバ城への坂道を上がっていくのだった。
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