23 おバカトリオ

1/1
前へ
/92ページ
次へ

23 おバカトリオ

皇帝陛下からの急な告白に戸惑いつつも、私はいつも通りの日々を取り戻しつつあった。 城下町までなら外出出来ると言う事は、城下町でいつものベルゼン殿とラッセル殿と私の3バカで酒が飲めると言う事だ! 私達、3バカはその日早速飲みに行った。 城下町には人が溢れており、エドババーバ国の最近の賑わいを見ているようでもあった。 私たちは馴染みの酒場に入ると、私はシャンパン、ベルゼン殿はビール、ラッセル殿は赤ワインを、それぞれ注文した。 そして、つまみに運ばれてきたのは、南方貿易によって輸入されてきた、アボカドのチーズ乗せ、だった。 これがまた、絶品なのだ。 「いやぁ、しかし、エティーナ殿が無事に釈放されて一安心したぞ!」 ベルゼン殿が言う。 「騎士長は相当陛下に釈放を進言していましたからね。」 ラッセル殿がバラす。 「おいっ! それを言うならお前さんだって、騎猫隊を解散する、と陛下を脅していたでは無いか!」 ベルゼン殿がアボカドチーズを食べながら言い返した。 「まぁまぁ、お二人とも! お二人の力添えがあって、陛下も心動かされたのですわ! ありがとうございます。」 「とにかく乾杯しよう!」 「3バカに!」 「馬鹿! 軍師姫の復活に、だろ!」 そんなこんなで乾杯して、その日も大いに盛り上がった。 明け方近くになり、ベルゼン殿が酔い潰れた頃… 「ねぇ、ラッセル殿?」 「何ですか?」 「私は愛だの恋だのがよくわからないんだけど、それって欠陥品なのかしら?」 「ははは! 俺に相談したのは、間違いかも知れませんがね。 俺も昔は女性に興味が無かった。 だが、ある時に急に恋に落ちたのです。 不思議なほど、これが恋すると言う事か、と分かりました。 だから、エティーナ殿にもきっとそんな瞬間が訪れます。 焦らずにゆっくりとあなたの道をお進みなさい。」 ラッセル殿はそう言って干し肉を口に運んだ。 「そんなものですか…」 「そんなものですよ。 それよりも、仕事の話に戻しましょうか。」 「その方が性に合っておりますわね。 で、仕事の話とは?」 「近日、シャルナーク国が攻めてくる気配があります。 しかも、今度は軍師姫の噂も広まっていますし、向こうも大規模な軍を率いて来る模様。 油断はなりません。」 「陛下はどう動くのかしら…?」 「さぁ? それが、話し合いの場ではうんともすんとも言いませんので。」 「情報ありがとう、ラッセル殿。 私も陛下のお考えを聞いてみるわ。」 そうして、酔い潰れたベルゼン殿にラッセル殿が肩を貸し、私たち3バカはゆっくりとエドバ城への坂道を上がっていくのだった。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

348人が本棚に入れています
本棚に追加