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27 ダンジョンデート?
次の日、水辺のダンジョン・スレアに向かった。
スレアは一本の大きな川の周りに発達するダンジョンであり、そこまで難易度は高くは無い。
が、多種多様な植物が生えている事でも有名であり、私はそれに賭けたのだ。
ウォータープルンパというスライムに尻尾が生えたようなモンスターが3体現れた。
私は炎魔法を使い、ウォータープルンパを倒した。
「ほぉ?
中々見事なものよ。
そなたは、炎系のスキルを持っているのか?」
皇帝陛下が関心しながら、そう尋ねた。
この世界では、職業かスキルのどちらか一方を天から授かる。
私はスキルの方であり、皇帝陛下のおっしゃる通り炎のスキルだ。
「はい。
戦炎、というスキルを持っております。」
「戦炎、か。
そなたにピッタリのスキルだな。」
「皇帝陛下は先程から戦われておりませんが…」
そう言った所で、ウォーターベアが4体現れた。
皇帝陛下は、右手に球を抱えるような手つきで前にかざすと、鋭い風が巻き起こり、ウォーターベアを斬り刻んだ。
「風系のスキルでございますね?」
「まさに。
神風、という。
皇帝たる俺にピッタリのスキルであろう?」
「ご自分でおっしゃらないで下さい。
神と付くスキルの持ち主は世界にも4人しかおらぬと聞いていますが…?」
「その通りだ。
知っておったか。
神炎、神雷、神土、そして、俺の神風だ。
この4人を指して、四神、とも呼ぶ。」
全く…
天は二物を与えずというが、二物も三物も与えられた人がここに居るではないか。
私たちは順調にダンジョンを進んで行った。
そして!
ついに稲の原種を発見した!!!
「これは…
稲の原種に間違いございません!」
私がそう言い麻の袋に入れると、皇帝陛下はかなり怪訝な顔でそれを見ていた。
「そなた、それは雑草だぞ…?」
「良いのです!
これで!」
「誠に変わった女子よの。
普通の姫君達が髪飾りやネックレスに夢中なところを…」
「あら、私にとっては宝石に価値はありませんわ。」
「だから、変わっていると言っているのだ。」
そんな事を言いながら、ダンジョンを後にした。
皇帝陛下はレストランでランチでも?と私を誘ったが、稲の原種が枯れるのが嫌なので、お断りした。
釣れぬ女子だ、とかなんとかいう皇帝陛下を引っ張って、エドバの後宮に戻った。
私は裏庭の湿った地に稲の原種を植えて、水をこれでもか、と入れておいた。
数日後、少量の米粒がなっていた!
大成功だ!
あとは、これをエドルの街の農村地帯に植えて…
ふむ。
やはり、そろそろ外出許可証が必要だな。
しかし、皇帝陛下が許可するだろうか?
うーーむ…
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