32 米の街として

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32 米の街として

次の日、私は超元気にエドルの街に向かった。 いよいよ、水田が完成して、稲の原種を植える作業に移るのだ。 まぁ、元気な理由はそれだけでは無いのだが… 私が鼻歌交じりに田植えをしていると、エドルの街を治めるドガゼフ殿が不思議そうに言った。 「軍師姫様、今日は何だか機嫌が良さそうですなぁ…?」 「え!? い、いえ、そんな事ありませんわ! 普通ですわよ、普通!」 やはり、皇帝陛下の正妃の件が関係しているのだろうか…? いいや、そんなはずは無い。 きっと体調の問題だ。 私はそうして、自分の中に芽生え始めた気持ちを否定しまくった。 とりあえずその日後宮の裏庭で培養した稲の原種を一つの水田に植えて、後は経過を待つ事にした。 そうして、土魔導師の力もあり、1ヶ月後には見事な米がなった。 私たちはどんどん田んぼを開墾していき、エドルは水田の街として名を馳せ始めたのだった。 そこで、必要なのが、()()()()()()()()である。 ライスレストランとは、おにぎり、おかゆ、雑炊、オムライス、チャーハンなどの料理を振る舞うレストランである。 エドルの街では、米に税収をかける事にしており、その税収からライスレストランを建てる事にした。 おにぎり、おかゆ、雑炊、オムライス、チャーハン、は大・大・大ヒット!!! ライスレストランには行列ができ、連日大儲け。 遠方のベルベット国やシャルナーク国からも貴族や市民などがやって来た。 まさに、米の街として復興してエドルの街を私はにこやかに見て、その日も後宮へと帰っていった。 さて、そろそろ戦が始まる気運がある。 となれば、一度ベルゼン殿とラッセル殿と会う必要があるな。 私は本城へ向かい、ベルゼン殿とラッセル殿を探した。 2人は作戦を練っていた。 「お二人とも! こんな所で策を練った所で、良い作戦は浮かびませんことよ! やはり、美味しい酒とつまみが無いと!」 「おぉ、そうだな! その通りだ、エティーナ殿!」 「一杯やりますかな?」 ラッセル殿が飲む振りをして言う。 「そう致しましょう!」 そして、私たち3バカはいつも通り酒に入り浸るのだった。 「そういえば、ラッセル殿に頼みたいことがございますのよ。」 「はて、何でございますか?」 「新しい部隊を作って欲しいんですの。」 「新しい部隊?」 「そう、名付けて! 騎狼隊(きろうたい)!!!」 「騎狼隊ですか!? つまり、俺に狼を手懐けよ、とそうおっしゃる訳ですね?」 「その通り! 狼ならば、どんな舗装されてない山道でもスイスイよ。 今後の戦でも活躍すること間違いは無いわ。 ビッグブラックウルフを調教して、騎狼隊を作って欲しいの。」 「ビッグブラックウルフか。」 ラッセル殿はビールを一気飲みして、こう言った。 「尽力させていただきますよ!」 「それでこそ、副騎士長ラッセル殿ですわ!」 そうして、相変わらず潰れたベルゼン殿を肩に担ぎ、エドバ城に帰って行ったのだった。
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