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3 欲しいもの
そして、翌日、目を覚ますと、マリアとレイ、アールが部屋の掃除やらしていた。
「まぁ!
おはようございます!
エティーナ様、昨夜は上手く行ったようですね!」
「え、昨夜…?」
はて、夢の中で戦法について説いた気がするが、あれは夢だったのだろうか?
いや、あれは現実…?
では、私は初夜そっちのけで皇帝陛下に戦を説教した!?
オワタ…
私の後宮人生オワタ…
そう思っていると、マリアが花束を持ってきた。
「なぁに?
その花束は?」
「ふふふ。
皇帝陛下からの贈り物ですわよ。
これは、昨日の夜が楽しかった、また会いたい、とそういう意味が込められているんですのよ。」
「はぁ…?」
私はマヌケな声を出す。
それもそうだ。
昨日が楽しかったはずはない。
何故なら、ひたすら私の戦法について耳を傾けただけであり、肝心の初夜をしていないからである。
しかし、マリア達は上手く行ったと信じ込んでいるようなので、そのままにしておいた。
花束の花は見事で、部屋の窓際に生けられた。
そうして、数日後、皇帝陛下は戦いの勝利と共に凱旋した。
後宮は皇帝陛下の見事なまでの勝利に大湧きしており、皇帝陛下が帰ってからどの姫の元に行くのか?と噂されていた。
そして、皇帝陛下は私の部屋にやってきた。
「こ、こ、皇帝陛下様…!」
マリアが平伏する。
「少しエティーナと話がしたい。
そなた達は下がってくれぬか?」
「はい…!」
そして、2人きりになると…
「そなたの読みは大当たりだったぞ。」
「大袈裟でございます。
皇帝陛下も読まれていたことにございますゆえ。
当たりはお互い様でございましょう?」
「ははは!
そう申すな!
言いにくくなるではないか。」
「言いにくい、と申されますと?」
「うむ、今回の勝利はそなたの助言により、策に自信が持てたのも一つの勝利の要因だ。
従って、そなたに何か褒美をつかわそうと思っているのだ。」
「まぁ…」
「何か欲しいものを挙げてみよ。
俺に手に入らぬものは無いぞ。」
ニヤリと不敵に笑いそう言う皇帝陛下に、私はこう言った。
「後宮の暮らしはいささか退屈にございます。
皇帝陛下にお願いしたいものが一つだけございます。」
「何だ?
書物でも?」
「いいえ。
それは…
外出許可証でございます。」
「外出許可証…!?
つまり、後宮を自由に出入りしたいと申すか?」
「おっしゃる通りですわ。」
「うーむ、外出許可証か…」
「俺に手に入らぬものは無い、とおっしゃいました。」
「そうは言うが…
外出許可証は薬師や医師などの後宮でも特殊な位置付けの姫に限るし…」
「ダメですか…?」
私がしょんぼりして言うと…
「とりあえずは俺のお供としての外出はどうだ?」
「構いませぬ!
では、まず、城砦都市にご案内ください!」
「そなた本当に変わった姫だな。
よかろう。
では、馬車を寄越すから、少し待て。」
そうして、城砦都市に皇帝陛下とおでかけする事になった。
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