38 駄々っ子?

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38 駄々っ子?

翌朝、私が目を覚ますと、陛下はまだベッドで私を引き寄せ抱きしめていた。 しかも、じーっと私の寝顔を見ていたようなのである。 「朝まで居られるなんて…」 「そなたの寝顔は可愛い…」 「朝から歯の浮くセリフを…」 「朝から毒吐くそなたに言われたく無いわ。」 皇帝陛下は起き上がり、ついでに私を抱き起こした。 「さて、私は朝の用意をして、出かける用事があるゆえ、陛下もお帰りください!」 「ダメだ。 約束を果たしていないではないか。 用事などキャンセルして、俺と過ごせ。」 「はぁぁぁ!? 何を子供のような駄々をこねていらっしゃるのですか?」 「嘘つきめ!」 「なっ!? いつ私が嘘つきました!?」 「熱い夜は過ごしておらぬっ!」 「まだ言いますか…」 私はほとほと呆れ果ててしまった。 何だか甘えられているような気もするけど、本当にそろそろ出かけないとまずい。 「では、一緒に行きますか…?」 私はそう尋ねてみた。 「お、おぉ…! デートの誘いだな! 仕方あるまい、乗ってやろう…!」 何で、そうなるんだ…? と思ったが、これ以上めんどくさい事になりたく無いので、何も言わなかった。 私たちはそれぞれ部屋に戻り、朝の用意をして、トパーズの後宮の前で待ち合わせした。 「で、どこに連れて行ってくれるのだ?」 完全に乙女の発言である。 「えーと、今日はルードラ侯爵とお茶会、その後、エドルのライスレストランの視察、その後同じくエドルにて水田地の下見がございます。」 私はテキパキと予定を述べた。 「ふむ、まるで仕事の様なデートよの。」 だから、仕事なんですってば! 「そうでございますか? 普通でございましょう?」 などと、陛下を適当にあしらいつつ、馬車はルードラの街に向かった。 ルードラ侯爵は萎縮していたが、なんとか鉱山のはなしをしてお茶会を終わり、次はエドルの街に向かった。 「次は、ライスレストランだな!」 「…楽しみなのですか?」 「あ、あ、あほう! ご馳走なら、いつも食べておるわ! 皇帝の俺が楽しみなどと!!!」 「はいはい。 分かりました。」 そして、ライスレストランの個室に通してもらった。 「私はレタスチャーハンに致します。 陛下は?」 「俺はこのオムライスとか言う奴にする!」 「では、それを一つずつ。」 しばらくして、料理が来た。 「はぁぁぁ… 美味しい… このもちもちとした食感に塩気、レタスの水気も良い…」 「おぉぉぉぉ! このライス?とか言うのはなかなか面白い! ねっとりともしていて、少し酸味のあるトマトソースと相性抜群、中のソーセージと玉ねぎが良いアクセントだ! そして! それを、卵のふわふわが…!」 陛下は感動してらっしゃる。 良かったよかった。 という訳で、あとは水田地を視察して、用事…じゃ無いデートは終わった。
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