348人が本棚に入れています
本棚に追加
40 難攻不落の城
相変わらず、エドババーバの軍はデリィ城を攻めあぐねていた。
私は後宮で考え込んでいてもいい案が浮かばないので、ルードラの街に出かける事にした。
ルードラは金山・銀山、それから農業にても栄えている街であり、そのほとんどが私が手がけたのだ。
ルードラの鉱山に行くと、たくさんの鉱山員達が働いていた。
その中で、土魔導師が4人集まって何かを話し合っていた。
私は彼らのテーブルに向かった。
「これは…!
軍師姫様!
お久しぶりでございます!」
土魔導師の一人アーノルドが挨拶した。
「久しぶりですね。
それよりも、4人集まって何を話しているのですか?」
「いや…
実はもう一つ鉱石が出そうな山を発見したのです。
少し高く重みがありますが、4人ならばトンネルを掘れるかと…
それで話し合っていたのですよ。」
アーノルドが答えた。
私は
「これだぁぁぁぁぁぁああ!!!!!」
と、叫んでいた。
♦︎♦︎♦︎
「つまり、そなたはデリィ城の四方の山脈の一つにトンネルを掘れ、とそう言う訳だな?」
「まさに…!
トンネルさえ通じれば、後は全員で攻め込むだけ。
デリィ城も簡単に落ちましょう。」
「ふむ、見事な意表をつく策だ。
しかし、となれば土魔導師4人では心許ないな。」
「もう既にあと5人の土魔導師を探しております。
抜かりはございませんわ!」
私は陛下にドヤ顔で言った。
「よし、では、土魔導師が見つかり次第トンネルを掘る作業に移る。」
「しかし、トンネルを掘る事は敵陣に決して気づかれてはなりません!
なので、山を越えて攻撃する振りをしましょう!」
「なるほど、多少の兵は突入するか。」
「それごよろしいかと存じます。
それから、トンネルを掘るには大きな音がします。
魔法爆弾をご用意ください。
それを常に投げて、音を誤魔化すのです。」
私は言った。
「よし!
それで行こう!」
♦︎♦︎♦︎
そして、土魔導師は計9人になり、トンネルを掘る作業が始まった。
と、同時に山越え攻撃フェイク部隊、爆弾発動部隊も作動した。
デリィ山脈では、常に激しい戦いが繰り広げられ、デリス王はまさか、下でトンネルを掘られているとは夢にも思わなかったはずだ。
そして、いよいよトンネルが開通した!
「騎狼隊、騎猫隊を先頭に、全軍突撃ィィィィ!!!」
もふもふの大きな狼に乗った兵達が我先に!と、トンネルを抜けてデリィ城に攻め入った。
続いて、二つのもふ尻尾を持つ大猫又族に乗った兵士らが突撃する。
デリス軍は大慌て!
トンネルを塞ごうとするも、エドババーバ軍の勢いは止まらず、どんどん攻め入られる!
完全に勢い付いたエドババーバ軍はものの2時間でデリィ城を落としたのだった。
勝鬨が上がり、デリィ城からは降参の白旗が掲げられた。
こうして、皇帝陛下は見事に難攻不落の城を手中に収めたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!