42 卵焼き屋

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42 卵焼き屋

そして、1週間後、卵焼き器が出来上がり、醤油、みりん、も発酵魔導師によって作られた。 「何だ? その黒い液体は? イカ墨か?」 まぁ、そういう反応よね。 私は陛下に説明する。 「これは、大豆、小麦、塩を発酵させて液を絞った、醤油、という調味料にございます。 この黄金色の液体はみりん、簡単に言えば酒と砂糖分でできております。 これに、出汁と砂糖、卵を混ぜて、ある物を作るのにございます。」 「ほ、ほぉ…? ある物とは!?」 「まぁまぁ、とりあえず調理場に向かいましょう。」 「俺も行くのか!?」 「当たり前にございましょう? 誰が試食するのですか?」 「そなたの料理… 食べられるのか…?」 「し、失礼なっ! 食べられますわよっ!」 そして、後宮の調理場を借り、私は卵焼き器に油を注ぐ。 十分に加熱したところで、卵液を少量ずつ入れていく。 「なんだ、卵液がまだ余っているでは無いか。 もっとドバッと!」 「あほ。 これで良いのです。 よく見てくださいませ!」 「あー! 皇帝陛下の俺にあほと申したな! 不敬罪だぞ!」 どうでもいいことでムキになる陛下をよそに、私はフライ返しでクルクルと卵を巻く。 「お、おぉー…! 卵が巻かれておる…!」 そして、綺麗に巻いた卵焼きを包丁で切った。 「こ、こ、これが、卵焼き…!」 「まぁ、正確にはだし巻き卵焼き、でございますがね。 どうぞ、食べてみてください。」 「わ、分かった。」 陛下は恐る恐る卵焼きを食べた。 すると…! 「おぉぉぉぉぉ!? なんと、深い味わい!? 塩分と出汁と、まろやかなコクが卵焼きから染み出しておる!!!」 大成功なようだ! それから、エッティの街に卵焼き屋を作った。 メニューは… プレーン チーズ たらこ えび ネギ 大葉 鶏肉 豚肉 牛肉 ミートソース ソーセージ 大根 の12種類である。 特にチーズとネギとソーセージは美味しいと大人気となり、卵焼き屋には常に行列ができた。 こうした、エッティの街は卵焼きの街として栄え始めたのだった。 陛下の好物に卵焼きとオムライスが加わったのは、言うまでも無かったとさ。
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